• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

射影多様体上の連接層の導来圏とそのモジュライ構造

研究課題

研究課題/領域番号 15740018
研究機関九州大学

研究代表者

稲場 道明  九州大学, 大学院数理学研究院, 助手 (80359934)

キーワードモジュライ / 導来圏 / 放物接続 / リーマン・ヒルベルト対応
研究概要

平成17年度はある種の条件を満たす三角圏に対して豊富列という概念を導入し,その豊富列から安定性の定義を与え,三角圏の安定な対象のモジュライ空間を構成し,そのコンパクト化として半安定な対象のS同値類のモジュライ空間が射影的であることを示した。この結果,安定層のモジュライ,ねじれ安定層のモジュライ,群作用付き安定層のモジュライなど従来から知られていたモジュライが統一的に捉えられるようになった。もちろん,導来圏の対象で層でないもののモジュライもある程度扱えていて,少なくとも現在知られている導来圏の対象のモジュライの具体的な例についてはほとんどが豊富列から定まる安定な対象のモジュライとして捉えることができる。
一方,代数曲線上の放物接続とリーマン・ヒルベルト対応についての論文を完成させ,現在投稿中である。この論文は,齋藤政彦氏と岩崎克則氏との共同研究で行った射影直線上の階数2の放物接続のモジュライとリーマン・ヒルベルト対応についての論文の結果を一般種数の曲線と一般階数の場合に拡張したものである。その中心的な内容は,安定な放物接続のモジュライ空間から基本群の表現のモジュライ空間へのリーマン・ヒルベルト対応で定まる写像が,双有理型な固有射になっていることを示したことである。この主結果から,安定な放物接続のモジュライ空間上に定まっている,モノドロミー保存変形で定義される微分方程式が幾何学的パンルベ性を満たすことが導かれる。論文ではさらに安定な放物接続のモジュライ空間にシンプレクティック構造が入ることを示し,この空間が基本群の表現のモジュライ空間の解析的なシンプレクティック特異点解消を与えていることがわかる。これを用いて基本群の表現のモジュライ空間の特異点集合の決定などの精密な結果を与えることもできた。また,モノドロミー保存変形で定まる微分方程式の代数性も厳密に示した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Moduli of stable parabolic connections, Riemann-Hilbert correspondence and geometry of Painleve equations of type VI, Part I2006

    • 著者名/発表者名
      M.Inaba, K.Iwasaki, M.-H.Saito
    • 雑誌名

      Publications of Res.Inst.Math.Sci. (掲載予定)

  • [雑誌論文] Dynamics of the sixth Painleve equation2006

    • 著者名/発表者名
      M.Inaba, K.Iwasaki, M.-H.Saito
    • 雑誌名

      the Proceedings of Conference in Angers, 2004, "Seminaires et Congre" of SMF (掲載予定)

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi