昨年度に引き続き、4次元多様体上の自己双対計量について研究を行った。まず、4次元多様体が3つの複素射影平面の連結和の場合について、その上の自己双対計量で、自明でないキリング場をもつもののモジュライ空間を決定した。一般的に、コンパクトな多様体をひとつ与えたときに、その上の自己双対計量のモジュライ空間を決定することは重要ではあるが非常に難しい問題であり、自明でない解が知られている例は非常に少ない。上記の結果は、モジュライ空間の貴重な新しい例を与える。その主張は、上記のモジュライ空間が3次元ユークリッド空間を鏡映で割って得られる空間になることを主張する。その証明方法は、いわゆるツイスター空間に問題を翻訳して、代数幾何学で古典的に知られている結果(すべての非特異4次曲線がちょうど28本の複接線をもつこと)を本質的に使っており、その結果と共に大変興味深いものと思われる。この結果を論文にまとめ、専門誌に投稿した。(現在審査中である。) 次に、多様体が4つの複素射影平面の連結和の場合に、対応するツイスター空間の研究を行った。すなわち、筆者が数年前に行った研究で得られた、非代数的なツイスター空間の代数的簡約写像(algebraic reduction)の特異ファイバーの研究を行った。その結果、ファイバーはすべて小平型であり、その既約成分の個数はたかだか2であることを証明することに成功した。この結果を論文にまとめた。(ただしさらに改良できる可能性があるため、未投稿である。)
|