研究概要 |
SはR^3の中の曲面で,臍点は持たないものとする.このときSの各点pの近傍U_p上の局所座標系(u,v)が存在して,S上の二つの主分布はU_p上において∂/∂uおよび∂/∂vによって与えられる.そしてこのときSの第一基本形式はU_p上λA^2du^2+B^2dv^2のように表される.k_1,k_2はS上の二つの主曲率関数で,それぞれ∂/∂uおよび∂/∂vに対応するものとする.SのGauss曲率KがU_pの任意の点でK≠0を満たすものとするとき,U_p上c_<20>k^2_1+c_<11>k_1k_2+c_<02>k^2_2=0が成り立つ,但しc_<20>:=(log|K|A^2)_v(logB)_u-(logB)_<uv>,c_<11>:=(log|K|AB)_<uv>-4(logA)_v(logB)_u,c_<02>:=(log|K|B^2)_u(logA)_v-(logA)_<uv>である.Gaussの方程式から,c_<20>,c_<11>,c_<02>はA,Bおよびこれらの偏導関数にのみ依存することがわかる.U_pの各点qに対して,2次の同次多項式P_<CM,q>をP_<CM,q>(X_1,X_2):c_<20>(q)X^2_1+c_<11>(q)X_1X_2+c_<02>(q)X^2_2によって定義する.P_<CM,q>を曲面Sの点qでのCodazzi-Mainardi多項式と呼ぶことにする.Codazzi-Mainardi多項式は零ではない定数倍を除いて第一基本形式と二つの主分布によって決定される. Mを2次元多様とし,gをM上のRiemann計量とする.またD_1,D_2をM上の二つの1次元分布とする.(M,g,D_1,D_2)が準曲面であるとは,D_1とD_2がMの任意の点でgに関して直交しているときにいうことにする(M,g,D_1,D_2)が準曲面であるとき,(g,D_1,D_2)をMの準曲面構造と呼ぶことにする.R^3の中の曲面で臍点を持たないものは準曲面とみなされる.準曲面(M,g,D_1,D_2)の各点でCodazzi-Mainardi多項式を零ではない定数倍を除いて定義することができる.Codazzi-Mainardi多項式を用いて,曲率がどこでも零ではない準曲面(M,g,D_1,D_2)に対しD_1,D_2が二つの主分布を与えるようなR^3への等長はめこみが存在するかどうかを判定するための方法を考案した.特にCodazzi-Mainardi多項式がどの点でも零であるならば必ずこのようなはめこみが局所的に存在することがわかった.また筆者が以前調べた主方向平行曲面の準曲面構造を調べ,特に標準的な主方向平行曲面を準曲面構造の観点で特徴付けすることができた.また平均曲率一定曲面の準曲面構造を調べた.
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