平面の上の特異なPoisson構造であるquadratic Poisson構造に関するスター積のホッホシルトホモロジーおよびコホモロジーの計算をおこなった(研究発表にある第二の論文)。今後もそれに引き続いてさまざまなPoisson構造、特に特異点を許容するようなPoisson構造に対応する変形量子化のホッホシルトコホモロジー等の計算を続けていく予定である。 またsymplectic構造に関する変形量子化に同伴して現れるDirac作用素を定義しその局所指数公式を定式化し証明を与えた。これはさまざまな定式化が可能であり、contact Weyl manifold多様体に関して定式化し証明を与えたもの(研究発表にある第一の論文)や、stack(grebe)を使って定式化して証明を与えたもの(研究発表にある第三の論文)とがある。 研究発表にある第四の論文において*一指数関数計算から変形量子化際、stack(あるいはgefbe、我々の文脈では齟齬多様体と呼ばれる)にあたる概念の構成に到達した。gerbeはいろいろな係数を持つ高次元コホモロジーの幾何学的な実現のため提案された概念ともみなすことが出来、Chern-Simons理論の定式化のためにも用いられている。今回の結果は、それChern-Simon理論の対象以外から自然にこのような概念が出現したといえる。 以上が今年度の実績の概要である。
|