研究概要 |
本年度は、モノポール方程式から導き出される4次元多様体のスカラー曲率などの微分幾何的な情報を含む積分不等式とその不等式のアインシュタイン計量などに対する応用について研究した.より具体的には以下のように述べることができる,現在までの研究により、モノポール方程式から4次元多様体の微分幾何的な情報を含む種々の積分不等式が導かれることが判明していた.この積分不等式達は様々な応用を持ち、その精密化や拡張など研究すべき課題は多い.本年度は、主にそれらの不等式達を統合するような普遍的な不等式を探すべく研究を行った.このような研究は、本年度の研究実施計画に沿ったものであり、特にその普遍的な不等式はアインシュタイン計量や山辺不変量などへの強力な応用を持つことが期待できる点は特筆に値する.幸運にも、その普遍的な積分不等式の一つの有力な候補を導き出すことに成功した.また、さらにこの導出された不等式がsymplectic幾何的な情報までをも含んでいる事が判明し、今後もっと大きな研究に発展していくものと期待している.これらについては現在論文を筆録中である.また関連する研究として自己双対多様体のSW不変量などに関する論文を2編、さらにアインシュタイン計量の存在に対する障害に関する論文1編を完成させることができた.特に、前者の2編の論文を現在専門雑誌に投稿中である.これらの論文は4次元実双曲多様体のSW不変量に関するルブラン予想(未解決)にも深く関連している.特殊ではあるがある条件の下で、その予想が実際に成立することを確かめることができたことを強調しておきたい.
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