界面の運動方程式が、界面の曲率に依存しているものを曲率流方程式という。本年度の研究では、界面の運動がクリスタライン曲率に依存する運動を主に扱った。クリスタライン曲率流では、界面として、ウルフ図形により特徴づけられる多角形曲線を扱う。この問題では、有限時間で解のあるノルムが無限大に発散することが分かっている。このように、解のあるノルムが有限時間で発散することを爆発現象とよび、その解を爆発解とよぶ。矢崎成俊氏(宮崎大学)との共同研究により、ウルフ図形が正多角形であり初期図形が凸の場合、解の漸近挙動について以下のことが分かった: (1)爆発解には、その発散オーダーに関して二種類に分類されること。 (2)極限での界面の形状と発散オーダーとの間に「自己相似解と同程度の発散オーダーを持つ解は一点に収縮する。逆に、線分に縮退する場合は、自己相似解より速く発散する」という関係があること。 (3)線分縮退する場合の速い爆発解について、詳細な発散オーダーの評価を得た。 以上の結果は、ICIAM2003等の国際研究集会、国内研究集会で発表を行ったほか、結果を論文誌・講究録へ掲載した。 更に、ウルフ図形が一般の凸多角形の場合について、結果を拡張した。この結果は、現在投稿中である。
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