研究課題
1.初期曲線が、凸の場合に対するクリスタライン曲率流に現われる特異点に関する数理的解析を行った。本年度行った理論的研究により、一般のウルフ図形の場合に対して、ある作用素の固有値を調べることにより、退化縮対の場合の発散オーダーの下限があきらかになった。また、速い爆発解が出現する場合で退化縮退が起こらない場合ついて、ある種の振動現象が発生する場合が分かった。(矢崎氏との共同研究。)2.初期曲線が非凸の場合、滑らかな曲線を扱う曲線短縮方程式などでは、Graysonらの凸化定理(有限時間で曲線が凸になること。)が示されているが、クリスタライン曲率流では非自明であった。既存の発表論文は凸化定理の成立を支持していたが、牛島氏、柳下氏、矢崎氏との共同研究により、非凸自己相似解の具体例を示すことができ、一般には凸化定理が成立しないことを明らかにした。いかなる条件下で凸化定理が成立するのかに関しては、次年度以降の課題とする。3.廣田氏との共同研究により、クリスタライン曲率流に現われる爆発解の爆発オーダーを、弧長変換と数列加速を利用した数値的同定法により求めた。これにより、sublinearの場合には、退化縮対する場合も一点縮対する場合も、爆発オーダーの主要項は、これまで知られているオーダーであるという予想を得た。しかし、詳細な爆発オーダーを求めるアルゴリズムはまだ開発されておらず、次年度以降の課題とする。4.ある種の退化放物型方程式の爆発解の特異性を、爆発時刻を用いず、その時点での解のある種のノルムによりリスケーリングした方程式を考え、そこから容易に計算できるある量の挙動をみることにより調べることができることを示した。これらの成果を、国際学会等において報告を行った。
すべて 2004 その他
すべて 雑誌論文 (4件)
Proc.Japan Acad. Vol.80, Ser.A, No.8
ページ: 151-154
Proceedings of the 8th World Multi-Conference on Systemics. vol.XV
ページ: 153-156
Proceedings of the 8th World Multi-Conference on Systemics. vol.XVI
ページ: 220-225
Gakuto International Series, Mathematical Sciences and Applications (掲載予定)