今年度はユークリッド空間上の拡散過程における大偏差原理及びその精密評価に関して研究を行った。 まず、大偏差原理に関しては、Donsker-Varadhanにより、マルコフ過程に対して、一定の条件の下で大偏差原理が成り立つことが証明された。しかし、具体的にある拡散過程が与えられたとき、その条件を満たしているかどうかのチェックは難しい。本年度はまず、ユークリッド空間上の一様楕円型拡散過程において、ドリフト項が線型以上であれば、大偏差原理が成り立つことを示した(研究発表[2]を参照)。 また、大偏差原理の精密化として、ラプラス近似を研究するとき、グリーン作用素の微分作用素に対する評価が必要になってくる。研究発表[1]と[3]はこれに関する研究結果である。
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