研究概要 |
本年度では,前年度に引き続き本研究目的におけるEfronが目指したような反例が具体的に存在することが可能であるか否か,についての研究を行った. 漸近情報量損失の時とは異なり,ある軸確率測度の下での母数Θによる自然母数αないしは期待値母数βに対するパラメトリゼーションについて前年度に得られた結果である,最尤推定量における正確な情報量損失を多次元ディリクレ分布について考察した論文に対して,今年度は修正を要求する雑誌のレフリーからのコメントに基づき,論文内容の再検討及び,論文構成の修正等を加えた.その修正版は現在投稿中である. 更に,拡張された尤度円周機構の構造に基づき,正確な情報量損失における最尤推定量の条件付き分散も,幾何的に引き続き考察した. また,曲指数型分布族において独立同一分布のみではなく,時間と共に推移するデータである時系列的なデータにおいても,反例の有無に関して情報量損失における構造部分の考察を行った. それ以外でも,前年度と同様,具体的な母数設定のシミュレートとして,場合分けとそれに関わる計算チェックとが必要になることと全て解析的に計算出来るわけではないこととにより,コンピュータを援用してのシミュレーションを引き続き行った.これらのシミュレーションとその解析結果を踏まえて,現在のところ反例の存在性に関して何らかの手がかりを得ている最中である.
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