本年度では、平成15年、16年度における研究内容に引き続いて、本研究目的であるEfronが目指したような反例が具体的に存在することが可能であるか否か、についての研究を行った。 漸近情報量損失の場合とは異なり、正確な情報量損失について、平成15年から16年にかけて論文とするために色々と取り組んでいた、ある軸確率密度関数の下での母数Θによる自然母数αもしくは期待母数βに対するパラメトリゼーションからの情報量損失の計算結果がやっと、本年度は論文という形でScientiae Mathematicae Japonicae誌に掲載された。 そのうえ、前年度から引き続き、拡張された尤度円周機構の構造に基づき、正確な情報量損失における最尤推定量の条件付き分散も、モデルを変化させて幾何的に考察した。 また、本年度は特に時系列データに対する指数型分布族を用いた尤度理論についての研究も行った。具体的な成果はまだないが、来年度からの研究課題の大きな柱としている。 本年度は、海外での研究成果発表も行った。平成17年12月末に行われたマレーシアのマラヤ大学がクアラルンプールで主催したInternational Statistics Conference 2005に参加して、論文となったExact Information Lossに関する発表を行い、加えて研究部会での座長を行った。アジア地域の研究者に加えてアメリカ、カナダ、イタリア、スイスなどから研究者との活発な意見交換も行った。このために本年度ではノートパソコンの購入などが必要であった。
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