研究概要 |
単安定興奮場におけるパルス解が,空間非一様な場においてどのように振る舞うかといった問題は,それぞれの反応拡散モデルが記述すると期待している現象には必然的に空間ないし時間的な非一様性が含まれるといったことからも重要であるが,主に解析手法の限界から研究はあまりなされていない.本年度,我々の数値シミュレーションを用いた研究により,パルス解の非一様性に対するレスポンスという観点から言えば,単安定興奮場のパルス解とひとくくりにする事はできず,単安定興奮場のある種のクラスに属するパルス解は,空間周期的な非一様場において周期性を持たない運動をする事が示された.この成果は,解析的な結果が多く得られているスカラー反応拡散方程式にみられるフロント進行波解の空間的な非一様性に対するレスポンスと決定的に異なるものであり,数理的な立場からの研究がよりなされる必要があることが明らかとなった.なお,本研究の成果は論文として発表されるに至っていないが,平成16年3月15日から19日にフランスCIRMにて行われるワークショップ"Mathematical understanding of invasion processes in life sciences"にて報告し,来年度以降の研究につなげる予定である.
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