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本研究は、決定論的区間力学系における間欠カオスに関する私の研究成果を発展させ、位置依存型ランダム力学系においても見られる間欠カオスをエルゴード理論的に解明することを目指しており、カオスの確率論的エルゴード理論的研究の発展に寄与しようとするものである。本年度は、間欠カオスを生じるあるクラスの位置依存型テンダム力学系に対して、ルベーグ測度に関して絶対連続なエルゴード的不変測度の存在を示し、時間的に可能なら、その測度が無限測度かどうかの判定基準をつくることを目的としてきた。そして、次に述べるような結果を得た。
決定論的区間力学系においては、与えられた写像のfirst return mapの不変測度からもとの写像の不変測度を構成する方法が知られている。この方法を、位置依存型ランダム力学系に対しても使えるように一般化した。
間欠カオスを生じる位置依存型ランダム力学系のいくつかの具体例の中から、そのfirst return mapの不変測度がわかりやすい形をしているのものを選び、上記の一般化された方法の有用性を検討した。その結果、上記の一般化された方法は有用であり、考察した位置依存型ランダム力学系には、ルベーグ測度に関して絶対連続なエルゴード的不変測度が存在することがわかった。また、決定論的区間力学系の場合に比べて煩雑な計算が必要ではあるが、少なくともここで考察した例についてはもとの写像の不変測度が無限測度かどうかの判定が可能であることがわかった。さらに、無限不変測度をもつ位置依存型ランダム力学系が実在することも確認できた。
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