研究課題
平成16年度は、まず、前年度得られた1次元非自己共役複素固有値問題に対する精度保証付き数値計算スキームをRayleigh-Benard対流として知られている熱対流問題を記述する2次元Oberbeck-Boussinesq方程式の線形化問題に対して適用する研究を行った。Navier Stokes方程式とエネルギー方程式の連立系で記述されるOberbeck-Boussinesq方程式を流れ関数を用いて記述し、適切な関数空間における不動点問題として表現し、Fourier-Galarkin近似による離散化と級数展開の有限の打ち切り誤差定数をa prioriかつ数値的に導くことによって固有値の存在範囲を厳密に保証するアルゴリズムを導き、さらに数値計算により固有値の包み込みを行なうことに成功した。引き続き、非線形偏微分問題である2次元Oberbeck-Boussinesq方程式の定常解の存在検証に取り組んだ。方程式は流体の粘性を規定するパラメータであるRayleigh数が大きくなるほど非線形項が支配的となり、計算が不安定になることが知られている。この問題点を回避するため、問題を残差引き戻しの形式に変換し、変換にともない生じる無限次元の誤差が線形化問題を事後的に評価することで定量的に可能であることを明かにするとともに、非定常解の存在検証条件を導いた。更に計算機内で発生する丸め誤差の厳密な見積もりを考慮した数値的存在検証アルゴリズムを用いた数値計算によって、これまで明らかでなかった解の大域構造を一定のRayleigh数に対して数学的に厳密に評価することに成功した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
Numerical Algorithms Vol.37, Issue 1-4
ページ: 311-323
Journal of Mathematical Fluid Mechanics Vol.6, No.1
ページ: 1-20