Ginzburg-Landau型のハミルトニアンに関する偏微分方程式を柱状ブラウン運動で摂動することによって得られる確率偏微分方程式の解として形式的に記述される確率過程を対象として、その確率過程の時間発展における平衡状態への接近の様子を解明を目標とする研究を行なった。特にその生成作用素に関する無限系でのスペクトル・ギャップの存在、対数ソボレフ不等式の成立の証明を行なった。 その証明法はLu-Yau-吉田によるマルチンゲール法による離散スピン系に対する対数.ソボレフ不等式の証明法に従った。しかし、我々が扱った連続場模型の場合は強い相互作用をもつ(実際スピンの全体は連続関数をなしている)ため離散スピン系のようにマルチンゲール法で現れる量が定義可能なものかどうかさえわからない。我々は試験関数の微分可能性などを用いこれらの量を適切に評価することで、対数ソボレフ不等式の証明を完了させた。 スペクトル・ギャップや対数ソボレフ不等式の研究を、確率偏微分方程式やマリアヴァン解析などの分野でみると現状ではBakry-Emery Γ_2-評価法によるものしか存在しないといえる。我々の扱った連続場模型は確率偏微分方程式で表現される確率過程であり、Γ_2-評価法では決して証明できない結果である。このためその分野における先駆的結果となると予測している。 この研究成果は2003年10月湘南国際村センターにて行なわれた研究集会「大規模相互作用の確率解析」で研究発表させていただいた。また、現在これらの研究成果を論文にまとめている最中で、論文としての研究発表はまだないことを報告する。
|