研究課題
1.この研究の主目的は、ボルツマン方程式の拡張された速度離散モデルおよび1点で強双曲性が退化している非線形双曲型保存則系を調べることにあるが、最終目的は、より広範囲の流体力学の方程式および非線形双曲型保存則系を解明することにある。2.(1)P.L.Lionsらによって、ボルツマン方程式を「解く」ことが流体力学の種々の方程式を「解く」ことにつながることが示されているので、研究の最終目的は、これらの流体力学の方程式の離散モデルの解の様子を把握することにある。(2)Perthameらにより、非線形双曲型保存則系を単独方程式に変換するkinetic formulationsという解の一意性を導く上で有効な新たな手法が開発され、この応用については現在Perthame氏と共同研究中である。(3)ボルツマン方程式の拡張された速度離散モデルの方程式の時間大域解に関する最良の結果を論文(2編うち1編は雑誌に発表済み、1編は投稿中)にまとめることができた。(4)強双曲性が1点で退化しているような2*2保存則系について浅倉史興氏と共同研究を続けている。この方程式は石油貯蔵流などに応用があり、大変重要な意味を持つが、数値計算なしには現在のところ結果が得られていないので、数学的に解明することを目標とする。Schaeffer-Shearerによる分類case I〜IVのうち、IとIIについて、われわれのこれまでの研究により得られたリーマン問題の衝撃波解が十分新見のあるものであるかを研究した。このためにこれらの解(弱解)が、粘性消滅法の解の極限であるかという意味で許容条件を満たすか、また接動に関して安定であるかについて研究成果をあげ、得られたその結果を論文(4編うち2編は発表済み、1編は受諾済み、1編は投稿中)にまとめることができた。(5)LeFlochらにより、流束密度関数が必ずしも凸でない場合についての単独の双曲型保存則系の解の一意性、適切性が研究されてきているが、方程式系にこの研究が拡張できないが、LeFloch氏と共同研究中である。
すべて 2003 その他
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Hyperbolic Problems : Theory, Numerics, Applications
ページ: 315-323
IMA Journal of Applied Mathematics (to appear)