本年度は超越整函数の無理的中立周期系の複素力学系の解析的研究の基礎をなす、有理函数の平均化値分布の極限測度に関して以下の研究結果を得た。 リーマン球面上の有理函数の2次元複素ユークリッド空間への持ち上げから生じる円盤状領域を斉次対数ポテンシャル論を用いて研究することにより、有理函数の平均化値分布の極限測度の存在と一意性を1次元複素ユークリッド空間上の多項式の場合と全く同様の形でポテンシャル論的に証明し特徴づけ両者を統合することに成功した。 また、擬似フラクタル集合である、有理函数の複素力学系のジュリア集合を、有理函数の平均化値分布の極限測度を用いて値分布理論的、スペクトル幾何学的に研究し、ジュリア集合に属するクレーマー周期系に関する、従来の解析数論による研究結果をネヴァンリンナ理論の観点から進展させることに成功した。
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