研究課題
複素力学系とネヴァンリンナ理論の間の辞書の構築を行った.さらにその数論における類似にも理論を拡大した.複素力学系に現れる数論的問題である無理的中立周期系の解析的線型化問題を有理函数のみならず超越整函数に対しても研究し、とくに自然な幾何学的有限性のもとでこの問題を解決した.一方、この問題をネヴァンリンナ理論の手法を用いても研究し、70年来の古典的結果を大きく改良することに成功した.さらにこの研究を複素力学系とネヴァンリンナ理論の横断的研究へと発展させ、数論における類似とも併せて辞書を構築した.具体的には、超越整函数の無理的中立周期系の複素力学系の解析的研究の基礎をなす、有理函数の平均化値分布の極限測度を多重ポテンシャル論の観点から研究し、それにより理論の再構成を行った。その結果、反復合成の力学系に対しては代数的、力学系的、ネヴァンリンナ理論的にそれぞれ定義される種々の例外値集合が全て一致すること、特に高々2点からなるという結果を得た.さらに遂次合成列の力学系に対してもそれらの自然な包含関係を明らかにし、それら例外値集合が全て可算的であるというネヴァンリンナ理論的に根本的な問題を解決した.同時に、公理論的ポテンシャル論の収束定理をこれらの結果から見直すことで新たな研究結果を多数得た.とくに複素力学系と解析数論の中心的研究対象である、回転領域の上でのポテンシャルの収束に関する研究結果を得た.
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Indiana University Mathematics Journal 53.3
ページ: 755-763
Koday mathematial Journal (発表予定)
Proceedings of the Japan Academy, Ser. A (発表予定)