研究概要 |
今年度は最初に青木氏,河合氏,竹井氏と共同でmicr odifferential operatorに対する完全WKB解析を整備した.これは一般論であり,WKB解の構成,変わり点とStokes曲線の導入,また作用素の分解定理を証明することで変わり点の近傍におけるWKB解のBorel変換の振る舞いを主として調べた. 次に竹井氏と共同でプラズマ波の解析を目的にBerk-Bookにより提起された微分積分方程式(Phys. Fluids, 12, 1969)を中心に調べた. 特に特性曲面に注目し,まず計算機を用いた数値計算により調べた.その結果Berk-Bookが変わり点として取り扱ったある点が,実は単純な変わり点の集積点であることを見い出した.これらの単純な変わり点は実軸にはなく,解析を実軸から複素領域に広げて得られる結果である. またこの結果を解析的にも証明した.変わり点を求める問題はある整函数の零点を求める問題に帰着される.そこでその問題をうまく座標変換を選ぶことで実領域におけるベクトル値函数の零点を求める問題に変換する.そこで一部の項を摂動項と見なす形でそのベクトル値函数の零点問題を解いた. 以上の結果は青木氏,河合氏,竹井氏との共著の論文(現在投稿中)及び,竹井氏との共著の論文(現在準備中)でそれぞれ発表する予定である.
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