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2003 年度 実績報告書

非線形分散型方程式の初期値問題の適切性および大域挙動に関する解析的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15740090
研究機関神戸大学

研究代表者

高岡 秀夫  神戸大学, 理学部, 助教授 (10322794)

キーワード非線形分散型方程式 / 初期値問題 / 適切性
研究概要

本年度は、非線形分散型波動現象を記述する非線形シュレディンガー方程式に対して、偏微分方程式論の立場から初期値問題の可解性を研究した。具体的には、プラズマ物理における数学モデルとしても登場する5次の非線形項を持つ非線形シュレディンガー方程式を考えた。トーラス上の初期値問題に対して、最近Bourgainは微分可能指数が1/2よりも小さいSobolev空間で時間大域解の存在定理が成り立つことを証明している。この空間は、不変測度が得られる関数空間として働き、時間大域解の漸近挙動を調べる上でも重要な結果と思われる。一方、全空間の初期値問題に対しては、同一なSobolev空間において時間大域可解性が示されているものの、それよりも小さい微分可能指数での実現の成否は分かっていなかった。全空間とトーラスという設定構造の相違が、解の特異性と非線形相互作用にどのように作用し、初期値問題の適切性にどのような現象を生じるか調べることは興味深い。
フーリエ空間による考察から、非線形相互作用によって周波数の停滞する項が現れることが分かり、先行の解の関数空間はその項の処理に依存していた。トーラス上の初期値問題では、解の関数空間に解自身に依存する構造を取り入れ、問題となる停滞項を取り除くことが行われたが、全空間の場合はそれが連続的であり、トーラス上の問題と同様な処理は困難と思われる。今回は、平滑効果を導く新しい3線形評価式を示すことからその様な周波数の停滞は瞬時に起こることを示し、時間大域解の存在証明に対して微分可能回数がこれまでよりも小さい関数空間で評価できる証明を与えた。如何に時間局所解が大域的に延長されるかは未解決として残っているが、他の方程式への応用は十分期待される。この成果は論文として現在取りまとめている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] H.Takaoka: "Polynomial upper bounds for the orbital instability of the 1D cubic NLS below the energy norm"Discrete Contin.Dyn.Syst.. 9・1. 31-54 (2003)

  • [文献書誌] H.Takaoka: "Polynomial upper bounds for the instability of the nonlinear Schrodinger equation below the energy norm"Commun.Pure Appl.Anal.. 2・1. 33-50 (2003)

  • [文献書誌] H.Takaoka: "Sharp global well-posedness for KdV and modified KdV on R and T"J.Amer.Math.Soc.. 16・3. 705-749 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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