昨年度の時間分割近似法によるFeynman経路積分の理論を発展させ、Feynman経路積分が数学的に厳密な意味をもつ、さらに一般的な汎関数のクラスを構成した。昨年度と同様に、我々の新しい汎関数のクラスに属する汎関数に対するFeynman経路積分の時間分割近似法は広義一様収束し、新しい汎関数のクラスは、一点での値、Riemann-Stieltjes積分、線積分など基本的な汎関数を含み、和と積に関して閉じている。さらに、新しいクラスは平行移動、線形変換、汎関数微分に対しても閉じている。この新しい汎関数のクラスを用いて、Feynman経路積分の汎関数微分に対する部分積分の公式、汎関数微分に対するテイラー展開、平行移動不変性、直交変換不変性を証明した。もちろん、昨年度と同様、新しい汎関数のクラスは、Riemann-Stieltjes積分との順序交換定理、極限との順序交換定理、準古典近似、Feynman経路積分における微分積分学の基本定理はすべて有効である。 論文として、上記の結果は論文「Smooth functional derivatives in Feynman path integrals by time slicing approximation」として発表し、雑誌「Bulletin des Sciences Mathematiques」で現在印刷中で2005年度出版予定である。(雑誌のホームページ上ではすでに発表され、ダウンロードできる。) 研究発表として、8月17日にドイツのポツダム大学での国際会議「International Conference on Degenerate PDEs and Singular Geometry」で、昨年度の研究成果で2004年4月に出版された論文「Feynman path integrals as analysis on path space by time slicing approximation」について口頭発表した。
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