本研究課題の最初の目標である双曲正30角形から種数3のリーマン面を構成する辺の貼り合わせの仕方1726通り(本質的に927通り)についてすべてを求めることが出来た。この結果を平成15年4月に名古屋大学ポテンシャル論セミナーにおいて発表した。またこの内容はKodai Math.J.Vol.27(2004)pp.88-104に掲載されることになった。次の目標である埋め込み可能な極限円板の個数とその埋め込み位置について、先の927通りの貼り合わせから得られるリーマン面に対して2個以上の極限円板を含むことが出来るものは12種類存在し、そのどれもがちょうど2個であることが得られた。そして埋め込み位置も正確に求めることができた。また超楕円的なものは10種類存在し、このうち6種類は2個の極限円板を含むことが得られた。その6種類に対してはWeierstrass pointを求めることが出来た。またこれら927種類のリーマン面に対して自己同型群を決定することが出来た。この結果を10月の名古屋大学ポテンシャル論セミナー及び11月の「リーマン面・不連続群論」研究集会において発表した。これについての論文は現在投稿中である。次の目標は2個の極限円板を含む12種類のリーマン面の性質を調べることであり、まず辺の貼り合わせから定まる927種類のフックス群に対してTrace fieldを求めた。種数3のリーマン面を構成する双曲正多角形は正30角形の他に正20角形、正14角形、正12角形があり、これらについてもTrace fieldを求めた。この結果を12月の「双曲空間に関連する研究とその展望II」研究集会において発表した。この内容は京都大学数理解析研究所考究録に掲載される。
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