研究概要 |
平成15年度には、非線形楕円型偏微分方程式に関する境界単調性等式を導いた。(最後の文献) 応用例として、2次元と3次元でBernoulliタイプ自由境界問題{u>0}∩ΩでΔu=0,∂{u>0}∩Ω上で|∇u|=1,∂Ω上でu=u_Dについて、古典解の存在を示した。ただし、境界u_Dが増大条件と非退化条件をみたすことを仮定した。 この問題は、流体のジェットと空胴、電気化学的研摩、最適熱導体の構成などに応用された。Ωの内点における滑らかな解の存在は最近L.A. Caffarelli-D. Jerison-C. Kenigらが示した。 相当する放物型境界単調性等式も得られた。領域の角、カスプなどにおける正則性及び,正則でない領域における解のふるまいの研究への応用もありえる。 一方、ソウル大学のKiahm Lee氏との共同プロジェクトである。SmolderingはSHS(Self-Propagating High-Temperature Synthesis)という産業的な応用もあることを述べよう。Hele-Shaw細胞における、水平対流のついたsmoldering実験では、fingering, tip-splittingなどの現象が観察されている。我々はいぶり過程の数学的モデルとなる単独非線形放物型偏微分方程式からなる自由境界問題を導いた。このモデルでは、安定指、安定炎球などの、全て実験で観察された対象が得られた。2003年度には、次のようなrigorousな数学的な結果も示した。1)maximal solutionとminimal solutionの存在。2)log-concave初期値の場合、大域古典解の存在。3)「タイプI」の特異点の特徴づけ。
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