研究課題
本研究では時間遅れをもつ方程式の解の漸近的性質に関する研究を行った。具体的な研究テーマは次の2つに分けられる:(1)有限遅れをもつ線形微分方程式および線形差分方程式の零解の漸近安定性(2)無限遅れをもつ関数微分方程式および関数差分方程式の解の漸近挙動本年度の研究成果は以下の通りである:(1)時間遅れをもつ2次元線形微分方程式および線形差分方程式の零解が漸近安定であるための必要十分条件を、係数行列の行列式、トレースと時間遅れのパラメータを用いてそれぞれ具体的に与えた。また、時間遅れをもつロトカ・ヴォルテラ型差分方程式の平衡点が局所的漸近安定であるための十分条件を数学的に証明した。(2)無限遅れをもつ関数差分方程式の解の漸近挙動について考察し、常差分方程式のペロン型の定理に対応する結果を導くことができた。証明は、解作用素スペクトルにより相空間を分解し、相空間における同値なノルムに着目し、関数差分方程式の解の漸近挙動をある常差分方程式のそれに帰着させることで行った。さらに、得られた結果をヴォルテラ型差分方程式に適用し、解の漸近挙動に関する新しい結果を得た。なお、無限遅れをもつ関数微分方程式の解の漸近挙動についても同様な研究成果が得られるものと予想されるので、早急に取り組む予定である。
すべて 2005 その他
すべて 雑誌論文 (3件)
Journal of Inequalities and Applications Vol.2005, No.2
ページ: 119-125
Journal of Mathematical Analysis and Applications Vol.305, No.2
ページ: 391-410
Applied Mathematics Letters 印刷中