研究概要 |
1.固有関数の分布関数の漸近挙動については,進展しなかった.この問題については球面の場合に対してすら非自明であることは,昨年の報告に述べた.球面の場合,固有空間への射影作用素の積分核がLegendre関数などの特殊関数で記述できることから,具体的な計算になるが,特異点の周りの処理がうまく行っていない.今後の更なる努力が必要である. 2.上記の問題に関連した,格子内の道の個数の漸近挙動に関する,私とZelditch教授(共同研究)による結果について,主に以下の研究集会で講演した. (1)Conference "Semi-classical theory of eigenfunctions and PDE's", CRM, Montreal,2004年6月1-5日. (2)"第51回幾何学シンポジウム",東京都立大学,2004年8月7-10日. (3)Conference "Complex geometry and string theory",名古屋大学,2004年12月9-11日. 3.第2項に触れた問題のスペクトル論的な側面についての問題,特に分割数の漸近挙動についてのMeinardusの定理のスペクトル論的類似について,現在研究中である.この問題は量子統計力学を背景に持つ問題であり,興味深く,かつ,将来性に富んだ問題である.今後こちらの方面にも力を注ぎたい.
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