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2003 年度 実績報告書

高空間分解能数値流体計算による「惑星落下問題」の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 15740116
研究機関東京工業大学

研究代表者

田中 秀和  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00282814)

キーワード惑星形成 / 原始惑星系円盤 / 惑星落下 / 密度波 / 輻射輸送 / 円盤ギャップ
研究概要

本研究で行った惑星まわりの原始惑星系円盤の予備的な流体計算の結果、惑星へのトルクの反作用として原始惑星系円盤が受ける影響が「惑星落下問題」において重要であることが明らかになった。惑星との角運動量のやりとりにより、円盤ガスは動径方向に移動し再配置される。その結果、原始惑星系円盤の惑星軌道付近においてガスの面密度が減少している「円盤ギャップ」がつくられる。この円盤ギャップは惑星と円盤の間の相互作用自体を変え、惑星の落下速度を大幅に減少させる。すなわち、円盤ギャップの形成こそが惑星落下問題解決への鍵になっている。
この結果を踏まえ、惑星にかかるトルクを調べる前に、まず惑星まわりの原始惑星系円盤の流体計算を用いて円盤ギャップの形成過程について詳細に調べた。円盤ギャップ形成においては、惑星によって励起された密度波の輻射輸送による減衰が重要な働きをするため、輻射輸送方程式も同時に解き惑星まわりの原始惑星系円盤の3次元流体計算を行った。
輻射による冷却時間は円盤内のダストの大きさと量に依存するため本数値計算においてこれは任意パラメータとして扱った。計算結果より、この冷却時間が惑星軌道周期程度になる場合に、密度波は強く減衰しギャップ形成が効率的に起こることが明らかになった。一方、惑星が成長して大きくなるほどギャップは形成されやすい。標準的な原始惑星系円盤を考えて冷却時間が惑星軌道周期程度である場合には、惑星が1地球質量まで成長した段階で、十分深いギャップが形成され惑星落下の速度が大幅に減速されることが分かった。また、このギャップ形成のための臨界惑星質量は冷却時間に依存するのであるが、冷却時間の2桁程度範囲内で臨界惑星質量は倍程度しか変化せず、我々の得た上の結果は比較的広い範囲に対し適用できる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Hidekazu Tanaka, William R.Ward: "Three-dimensional Interaction between a Planet and an Isothermal Gaseous Disk II. Eccentricity Waves and Bending Waves"Astrophysical Journal. 602. 388-395 (2004)

  • [文献書誌] Kei Morohoshi, Hidekazu Tanaka: "Gravitational Interaction between a Planet and an Optically Thin Disc"Monthly Notices of the Royal Astronomical Society. 346. 915-923 (2003)

  • [文献書誌] Keiji Ohtsuki, Hidekazu Tanaka: "Radial Diffusion Rate of Planetesimals Due to Gravitational Encounters"Icarus. 162. 47-58 (2003)

  • [文献書誌] Hidekazu Tanaka, Keiji Ohtsuki, Hiroshi Daisaka: "A New Formulation of the Viscosity in Planetary Rings"Icarus. 161. 144-156 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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