本研究の目的は、磁気雲の重力収縮・分裂によって連星系が形成される過程を、磁気拡散の効果に着目して、数値シミュレーションすることである。強い磁場により支えられた星間雲は、磁力線に平衡方向に収縮し、偏平な形状をしていると期待される。そこで、磁気雲を厚み方向に積分し、2次元近似して磁気流体力学シミュレーションを行なった。なお磁気雲外部では、ガス密度が非常に低いと期待されるので、force free磁場を仮定して、3次元空間で解いた。これまでに、初期の星間雲の質量がジーンズ質量より十分重い場合、磁気拡散により、磁気雲の分裂が促進されることが分かった。また、分裂過程は、(1)中心部で非常に長い棒状のコアが形成され、それが分裂する場合、(2)中心部で回転円盤が形成され、それが分裂する場合、(3)中心密度が十分に増加する前に2つ以上のコアに分裂する場合の3種類あることが明らかになった。パラメータサーチの結果、分裂が起こる条件を磁場の強さ、星間雲の質量などを用いて分類することもできた。当初の研究計画にあった、多層格子法の開発は現在も開発段階である。次年度の前半には完成させたい。本年度に得られた研究成果はThe Astrophysical Journalに査読付論文として掲載された。
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