星は密度の高い星間雲の分裂・収縮により誕生する。これまでの星形成の理論モデルによると、星間雲は収縮前、強い磁場によって支えられているが、星間雲の電離度は非常に低いので、時間が経つと磁場が散逸し、重力的に不安定となった高密度領域が収縮を始め、星が誕生すると考えられている。この過程は、密度が何桁にもわたって変化する非線形過程であるので、直接数値シミュレーションによって調べることが必要になるが、これまでの研究では技術的な困難さもあり、そのような研究はほとんど行なわれていない。本研究の目的は、これまで行なわれてこなかった、磁気雲の分裂・収縮過程を、磁気拡散を正しく考慮して数値シミュレーションすることである。 3年度は、初年度、2年度で調べた2次元モデルの3次元への拡張に取り組んだ。まず、磁気拡散の無い場合の星間雲の重力収縮過程を追跡した。計算では、これまで取り入れられていない、原始星からの双極分子流(アウトフロー・ジェット)の効果を取り入れた。3次元計算の結果、双極分子流によるガスの散逸やガスの圧縮などにより、星形成が双極分子流によって制御される様子を明らかにした。 次に、磁気拡散項をプログラムに付加し、同様の計算を行った。初期磁場が強いときに特に、磁気拡散が重要となることが分かった。 これらの研究結果の一部は下記論文リスト中の投稿論文として発表されている。
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