研究課題
本研究の目的は輻射流体力学の計算法を再構成し、効率的な計算プログラムを開発して、天体形成理論に応用することである。輻射流体力学の相対論的な定式化はすでに去年度までに進めている。今年度はその計算法を開発することであるが、計算を高速化するための工夫を試行錯誤している段階である。来年度中にはそれを完成して、具体的な応用を進めていく予定である。上記の研究に並行して、具体的な現象論における近似的な輻射流体力学計算を進めている。具体的には、大質量星が形成された領域に広がる電離・解離領域の膨張過程を研究した。計算は球対称1次元で、輻射場に関しては2流束近似を用いているが、解離を起こす紫外線光子のライン・スペクトルを解く必要があるため、非常に困難な計算である。実際、相互作用する電離波面と解離波面の両方を一貫性をもって計算したのは世界的にも初めての試みである。その結果、一般的な条件の場合、電離波面のすぐ前面に立つ衝撃波によって圧縮された高密度層での分子ガスの割合は非常に大きくなることが明らかになった。この層は重力不安定により分裂して次の世代の星形成を誘発するであろう。この結果はS104領域の観測結果を見事に再現するものであり、短い論文としてまとめられ、米国・天体物理学会誌(Astrophysical Journal)に投稿して受理された。現在、より一般的なさまざまな場合の計算結果をまとめた長編の論文として発表する準備を進めている。
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The Astrophysical Journal (印刷中)
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