研究課題
我々はChandra衛星を用いてHH80/81と呼ばれる空間的スケールと速度の大きい原始星ジェットをX線で初めて検出した(Pravdo, Tsuboi, Maeda 2004 ApJ)。明るさはかつて我々がX線検出したジェット、HH2の60倍、しかし温度はHH2と変わらなかった。ジェットと周りの物質との衝突による衝撃波加熱がX線の起源と考えると、この温度は大きいジェット速度を反映していないことがわかった。我々はこのジェットのエンジンと考えられている大質量星からはX線を検出しなかったが、そのすぐ近傍から吸収を受けた硬X線を検出した。これはジェットの付け根を検出したものなのかもしれない。またXMM-Newton衛星ではHH168領域のジェットをX線検出した(Pravdo & Tsuboi 2005 ApJ)。可視光で明るい複数のノットのすきまをX線ノットが埋めるような構造をしていた。またそのエンジンと考えられるソース近傍から吸収を強く受けた硬X線を検出した。さらに空間分解能のよいX線観測で、電波ソースとの対応関係およびX線の微細構造を明らかにして起源にせまるべきであろう。我々はかつてX線観測を行ったオリオン分子運3領域を電波(VLAによる)観測した(Tsujimoto et al.2004 PASJ)。2つの電波ソースをその領域から検出し、両者とも近赤外対応天体を持つことを明らかにした。これらはClass I原始星と考えられる。硬X線ソースはこれらから1-2秒角ずれていた。これはClass I原始星から放出されたジェットを見ていると考えても矛盾しないことを示した。オリオン分子雲の超長時間観測を行い、主系列以前の星から中性鉄輝線を検出した(Tsujimoto et al.2005)。検出したソースは127のサンプル中の7天体であり、それらは全て観測中にフレアを起こし、熱的なX線放射をし、近赤外対応天体をもっていた。それらのX線が大きな吸収を受け(N_H>1x10^<22>cm^<-2>)、赤外超過を示していることから、この中性鉄輝線は磁気再結合でできたフレアループからのX線が星周円盤に照射し、吸収されて蛍光輝線として再放射されたものだと我々は解釈した。
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The Astrophysical Journal Supplement (to be published)
The Astrophysical Journal (to be published)
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