本研究は、早期型銀河シルエットディスクをミリ波やサブミリ波で観測することで、特にAGNに付随する分子ガス円盤/リングのメカニズムを直接的に考察することを目指すものである。 平成15年度では、VLBIを使った早期型銀河3C66Bの観測により、その中心部に「バイナリブラックホール」が存在することを発見した「Sudou et al.2003」。本結果は早期型銀河が2つの大きな「銀河の合体」によって生まれたことを意味し、そのシルエットディスクはその合体時における回転運動によって生成されたものであることを観測的に実証することに成功した。 平成15年度に「超広帯域高分散分光器及び広帯域4-8GHzIFシステム」の開発を完了し、平成16年度の前半期には詳細な評価を実施した。そして、それらの結果をまとめて「Iguchi et al.2005」にて発表した。 平成16年度の下半期では、開発したこれらの装置を用いて、野辺山ミリ波干渉計に45m電波望遠鏡と結合し、ハップル宇宙望遠鏡で発見された早期型銀河3C31(NGC383)の中心領域におけるシルエットディスクを観測し、世界で初めてCO(1-0)輝線で描き出すことに成功した。これにより、面密度の動径分布からCO分子ガスがリング状に分布していることがわかり、位置-速度図からこのCOリングが半径1kpcを400km/s以上の高速回転していることがわかった。これは、ハップル宇宙望遠鏡で観測されたHαの結果とほぼ一致しているおり、COディスクがシルエットディスクと同じ場所にあることを示唆している。さらに、CO(2-1)での観測も行なっており、詳細な解析を踏まえて、今後、リング状に分布したCO分子ガスの物理状態及び重力安定性から星形成の有無などを明らかにし、現在、本研究成果をまとめており、平成17年度になるが論文化を進めている。
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