昨年度にひきつづき、磁気リコネクション拡散領域についての研究をおこなっている。太陽フレアのエネルギー解放の物理機構が磁気リコネクションであることは、観測的には確立しつつある。しかし、そのかなめともいうべき拡散領域が、大きな磁気Reynolds数のもとでどのような構造をしているのかがまだ明らかになっていない。ミクロ過程が効くスケールと、ループのスケールとの中間のスケールに、磁気流体乱流で実効的に拡散が強くなっている拡散領域がおそらく存在すると考えられている。本研究では、磁気リコネクションが、乱流的な擾乱によってどのような影響を受けるのかを、磁気流体シミュレーションによって調べている。3次元のシミュレーションをおこない、さまざまな擾乱について調べてみた。ランダム位相ランダム振幅のAlfven波、シア方向がランダムに向いている電流シート、ランダムに点火する異常抵抗などである。現在までの結果では、乱流による付加的な拡散効果はまだ現れていない。 これ以外に、太陽コロナ中での浮上磁場とコロナ磁場とのリコネクションの研究(草野・磯部・宮腰・能登谷氏らとの共同研究)、相対論的磁気リコネクション(渡邊氏との共同研究)、太陽フレア非熱硬X線放射の研究(簑島・三谷氏らとの共同研究)、太陽フレア観測(浅井氏らとの共同研究)などをおこなった。
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