研究概要 |
本研究の目的は、α粒子(^4Heの原子核)を単位とした原子核のクラスター模型を考え、核子数が100に至る所まで系統的にその構造を調べるものである。平成15年-16年度の2年間での研究課題であり、今年は最終年度であるため、ここでは、この2年間の成果と今後の課題について下記で述べる。 1.7αクラスター模型における^<28>Siの構造計算 αクラスター模型での系統的な核構造計算を行うために最初に取り上げたのは、Si原子核である。^<28>Siの比較的低励起エネルギー領域(7MeV-10MeV)には,3^-,0^-,5^-という負のパリティを持った状態がバンド構造を持って存在している。これらの集団的状態は,当然ながらsd殻模型では表現できない。我々は,^<28>Siを7αクラスターの状態として考え,最近接対が多くなるような幾何学的配位を混合し,GCM計算を行った。その結果,まだ詳細な詰めはまだ残っているものの,^<28>Siの集団的構造がαクラスターの高分子状態として理解しうることを指摘した。同時に,D_<6h>の対称性のある2次元クラスター状態である「Rokka」状態を予言した。ここまでは、本研究成果として、平成15年のInternational Conferenceで発表した。Rokka状態から3次元状態への遷移は,その特異性から非常に小さいと考えられ,安定化することが予想される。この点については、現在、研究を進めている段階である。 2.α+Λ系(Λ^^5He)のパイオン放出弱崩壊によるαの壊れ度合いの検出可能性 α系にハイペロンを付加したときの核構造についても研究を進めている。その中でも最も単純なαΛの系であるΛ^^5Heハイパー核で,どの程度α粒子がαを保ったまま存在するかを議論した。最近の計算により,5体系のハイパー核の中でαは固くはなく,α粒子単独に比して,3MeV程度その束縛エネルギーを失っているという結果がある。このα粒子の壊れの程度を最近測定されたΛ^^5Heハイパー核のパイオン放出弱崩壊幅で観測することを考え、研究を行った。
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