1、磁気モノポールの観測可能性とインフレーションモデル 磁気モノポールの発見は、理代物理学の大きな課題の1つである。しかし、これまでの素粒子モデルでは、磁気モノポールの質量密度が大きすぎたり(モノポール問題)、或いは逆にインフレーションによって薄まりすぎたり、観測可能な量を残すことができなかった。本研究では、2つのスカラー場を仮定するハイブリッドインフレーションモデルにおける磁気モノポールの形成を考察した。その結果、インフレーションによって適切な数密度を作ろうとすると、モノポール1個の質量が大きくなり、従来のモノポール問題は解決されないことがわかった。 2.パルサーから放射される電磁波の偏光における重力の効果 パルサーから放射される電磁波の偏光には、パルサー磁気圏の物理的情報が含まれている。パルサー表面付近では電磁場に対する重力の効果が無視できないことは、昨年度までの本研究によって明らかにされたが、偏光に対する効果はまだ理解されていない。そこで、偏光に対する重力の効果の研究への取り組みとして、今年度はカー時空における基礎方程式の導出を行った。次年度は、これを基にカー時空における偏光を解析し、その観測的帰結を導く予定である。
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