研究概要 |
昨年度までの開発で宇宙科学研究本部の1.3m望遠鏡を、ガンマ線バースト(GRB)の発見情報に同期して完全自動で観測できるシステムを構築した。また、赤外線検出器も本格的に動作しはじめ、可視光と赤外線の両バンドで観測可能となった。本年度までの研究で、目標とする開発は全て実行できたことになる。 平成17年度の研究では光学微動台を用いたキャリブレーションによる可視・赤外線検出器の特製を把握し、天体観測による性能評価を行った。赤外線検出器を用いた試験観測で、J, H, Kバンドにおいての限界等級がそれぞれ16等級程度であることを示した。現在はP-SPICE回路シミュレータを用いて信号を把握し、限界等級を上げるための回路変更、リニアリティを保ったダイナミックレンジの拡張について検討している。また、基盤A研究(代表:中村卓史)と共同で連日の観測体制を整え、リアルタイムで流れる世界各国の観測情報を踏まえた最適な観測ができるようにしている。 2004年12月18日のGRBでは可視光領域で撮像を行い、残光現象を検出した。本システムにおける最初の検出である。残念ながら発生直後でも暗いイベントであったために赤方偏移決定には至らなかったが、世界でもかなり速い段階からの連続観測に成功し、20等級程度までの減光の様子をモニターすることに成功し、ジェットの開き角度の測定など、爆発のメカニズムに迫る情報を得ることができた。現在、SPIE国際学会へ望遠鏡システムと観測結果を公表するために論文を執筆している最中であり、平成18年5月に口頭講演する予定である。
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