GeV領域でのγ線によるハイペロン生成を偏極移行量の測定により研究するのが目的である。実験はSPring-8のLEPSビームラインで行う。生成されたハイペロンの偏極量を測定するため、実験標的を囲むTPC(time projection chamber)により崩壊粒子の非対称度を測定する必要がある。 TPCは高計数に弱く、TPCが正しく稼働するためには、バックグラウンド粒子を極力減らす必要がある。バックグラウンド粒子はビームハローが標的付近にある様々な物質と相互作用して生成されるのが主である。これらバックグラウンド粒子を減らすため、ビームライン上に鉛によるコリメータを設置することで、ビームハローを効率良く遮蔽し標的に比べ十分に細いγ線ビームを得る。 設計したコリメータ及びTPCによりテスト実験を行った。TPCが稼働するのに十分バックグラウンド粒子が抑制されていることを確認した。しかし、実験に先だって行なったシミュレーションの結果より量が多いことも同時に判明した。実験で得られたデータを解析することにより、さらにバックグラウンドを減らす必要があり、今後の課題とする。
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