研究概要 |
銀河団は力学平衡に達した天体としては最大の天体であり、電波からX線、ガンマ線にいたる様々な波長領域で近傍から遠方まで観測可能な天体であり、それ自身興味深い研究対象であるだけでなく、宇宙の歴史を研究する上でも重要な天体である。そのため、銀河団の物理を理解することが重要になる。銀河団では高温プラズマの冷却過程が重要でないなどの点から、銀河団高温プラズマを特徴づける温度やX線高度、銀河団の質量、大きさなどの間に簡単なスケーリング則が成り立つことが理論的に期待されていた。しかし、最近の観測結果は理論から予想されていたものからずれていることを示している。観測結果を説明するひとつの可能性が、重力以外の加熱源により、銀河団高温プラズマが加熱されているというものである。 今年度は、加熱源として、銀河団中の活動銀河核と銀河中の超新星爆発を考え、それぞれがどのような影響を与えるのかを調べた。その結果、銀河団の観測結果を説明するためには、従来から考えられてきた超新星爆発による加熱だけでは十分ではないことを確認し、活動銀河核をあわせてかんがえることにより、初めて観測を説明できることを示した。今後は活動銀河核による加熱の詳細,そのほかの加熱源の考察、将来行われる観測への予言などの研究を通して、銀河団の物理の理解を深めたい。
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