1、超弦理論の強結合的な側面は、一次元広がりの大きい膜により良い記述が与えられる。しかし、それは古典的な近似が正当化される面のみに留まっている。一つの理由として、膜の量子論がなく、従って、その量子力学的な性質に関する現時点での知見が皆無であることが挙げられる。1月終わりに投稿した膜に関する論文(hep-th/0401227)では、この点の克服を目的とし、その摂動論の定義を与え、摂動論的な力学を調べた。特に、先の超弦理論との接点から、臨界次元が望ましい値になることを確認した。 2、「非臨界弦」は、「行列模型」と呼ばれる理論により、その定義が与えられる。従って、それは、本研究課題である超弦理論のゲージ理論からの構築の可能性を探る上で試験的な場を提供する。弦の非摂動効果として代表的なものは、D-ブレーンと呼ばれる開いた弦の端になるものにより担われる。他方、行列模型による弦の世界面の足し上げは、閉じた面についてである。この閉じた面の足し上げのなかで、開いた弦がいかに現れるかに関するメカニズムを明らかにすること、及び、その効果が任意性なしで決まるか、あるいは非摂動的な真空を特徴付けるパラメータが存在するかを判断することを目的とした研究を進めてきた。後者に関し明確な解答が得られ次第、論文として公表する予定である。 3、ミュー粒子の異常磁気モーメントへの光-光散乱振幅を通じた寄与は、直接的なアプローチと現在のスーパーコンピューターを用いた場合、100年単位の時間がその評価に必要となる。この3月の訪問を機に、Brookhaven National Laboratoryの理論研究室、及びBNL-RIKENの研究者らと共に、現実的な時間でそれを克服する一つのアイデアを検討し始めた。
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