研究概要 |
EuS, Ga_2S(=2:3)粉末を加熱(1130℃)溶融-徐冷したEuGa_2S_4試料に対し,QスイッチNd : YAGレーザーの三倍波をベースにした光パラメトリック発振器のシグナル光を用いて光強励起を行い,発光強度,減衰時定数の励起強度依存性を調べた.励起密度を最大25MW/cm^2まで増大させると,減衰時定数は減少するが,発光強度は飽和傾向を示し,誘導放出が起こっているとみなされる現象は見られなかった.また,観測波長が長波長になるほど減衰時定数が大きくなる傾向が見られ,発光の始状態が不均一拡がりを持つことがわかった.不均一拡がりの原因としてEuGa_2S_4以外の異相(例えばEuGa_4S_7,Eu_2Ga_2S_5等)の影響が考えられるが,この異相の存在が誘導放出の出現を阻害している可能性が考えられる.誘導放出が観測されない原因としては,他に励起状態吸収の存在,結晶中の欠陥(トラップ)の影響(熱ルミネセンスの存在)等が考えられるが,今後は異相の存在しない良質な単結晶を用いて発光の励起強度依存性,過渡吸収等を調べる必要があると考えられる.
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