研究概要 |
ブリッジマン法により作製したCa_<0.8>Eu_<0.2>G_2S_4単結晶(厚さ約20μm)を用い,励起光にQスイッチNd:YAGレーザーの三倍波をベースにした光パラメトリック発振器のシグナル光(波長510nm,パルス幅10ns)を,プローブ光に高圧水銀灯のCW光(波長564nm)を用い,ポンプ-プローブ法による光学利得の測定を行った.その結果,1MW/cm^2のポンプ光を入射すると,プローブ光が約20μmの試料厚で約10%増幅されることがわかった.実験から得られた光学利得の大きさは30cm^<-1>で,発光量効率,励起光密度およびMcCumberの光学利得を求める理論式を用いて計算した値とよい一致を示した.今回励起条件では500μm角の単結晶があればレーザーを構成できる計算になり,この材料がレーザー材料として十分利用可能であることがわかった.しかしながら,発光減衰後,プローブ光がポンプ光入射前のレベルに戻らないこともわかった.このことは光励起誘起による過渡吸収が発生しているためと考えられる.今後,レーザー発振の観測を目指すとともに,この過渡吸収の原因を調査し,過渡吸収が起こりにくい(よりレーザーに適した)試料作製条件を明らかにしていく必要があると考えられる.
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