申請者は単純な立方晶CaTiO_3型のアンチペロブスカイト型結晶構造を持つCe_3PbCにおいて多段メタ磁性転移が生ずることを報告している。この起源には中性子回折実験より明らかにした、2つの転移温度の違う磁気構造が共存し、且つ最低温ではtriple-q構造に落ち着くという複雑な磁気構造が関与していると考えられる。そこで本研究はCe_3PbCがこのような複雑な磁気構造を取る原因を明らかにするために、一軸圧力下での磁化測定を行う計画を立てた。 本年度の研究計画はまず一軸圧力下での測定に耐える純良大型単結晶の育成であった。これについては高真空テトラアーク炉を用いたチョクラルスキー引き上げ法により2mm角を超える単結晶の育成に成功した。また、Ce_3PbCは空気中で急激に酸化が進むことにより単結晶の方位出しに困難を生じるが、試行錯誤の末に高純度ヘリウムガス中でエポキシ樹脂に試料を埋め込むことによって酸化を防ぎラウエ写真を撮ることができるまでになった。さらに、計画していた直接加圧式の一軸圧力セルも完成し、一軸圧力を任意の温度で変化することが可能になった。今後、試料の加工が終了次第実験に移る。
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