1.高圧下磁化測定装置の開発 高圧下磁化測定を目的として銅ベリリウム合金製磁化測定用圧力セルを開発した。圧力発生テストの結果、1.2GPaまでの高圧が発生可能であり十分な精度で磁化測定ができることを確認した。この圧力セルを用いて強磁性超伝導物質UGe_2などの高圧下磁化測定を行った。さらに3GPaまでの高圧下磁化測定を目的としてインデンタ型高圧セルの開発も行った。 2.超高圧下電気抵抗測定系の構築 ダイヤモンドを用いた圧力セル(ダイヤモンドアンビルセル:DAC)を用いた超高圧下電気抵抗測定システムの構築を行った。その結果32GPaまで超高圧下電気抵抗測定が可能となった。この圧力領域まで電気抵抗測定が可能なのは我々を含めて世界でも数グループしかない。受精卵操作などで使用されるマニュピレーターを用いることで、一辺の長さが精々0.1mm程度の微少試料に電極となる直径0.01mmの金線を4本装着させることが可能となった。この装置を用いた物性研究例として以下の2つを挙げる。 (1)希土類元素プラセオジミウム(Pr)の超高圧下電気抵抗測定 Prの電気抵抗測定を30GPaまで行い、Prイオンが価数転移する20GPa以上で遍歴4f電子の磁気秩序状態の存在を電気抵抗異常から確認した。0.1Kまでの極低温測定では超伝導転移は観測されなかった。 (2)希土類元素ガドリニウム(Gd)の超高圧下電気抵抗測定 強磁性物質Gdの電気抵抗測定を6GPaまで行い、磁気転移温度の圧力依存性を調べた。高圧下で基底状態が強磁性から反強磁性状態へと変化する可能性を示唆する結果が得られた。
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