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2004 年度 実績報告書

強相関電子系における強磁性の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15740221
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

中野 博生  兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助手 (00343418)

キーワード金属強磁性 / ハバード模型 / 厳密対角化 / 部分強磁性 / 金属絶縁体転移 / 電荷圧縮率 / 相分離
研究概要

本研究は、金属強磁性の出現メカニズムの解明とそれに関連する現象の理解につながる知見を大規模数値シミュレーションによって得ることを目的としている。そのため、我々は次近接ホッピングを持つ1次元ハバード模型を少数系クラスターの厳密対角化法によって調べた。ハバード模型は金属強磁性を記述しうる最も簡単な模型の一つとして良く知られている模型である。しかしながら、この系で近似を用いずに電子間相互作用を取り扱うことが大変難しいことも同時に良く知られている。そのような電子相関を直接シミュレーションで丸ごと取り込むことによって、我々は、ハーフフィリング近傍において完全強磁性と非磁性の状態の間に部分スピン偏極の基底状態が相互作用の幅広い領域で明瞭に現れることをこの模型に見出し、既に報告している。我々は、今年度、そのように新しく見出された部分スピン偏極状態の金属相からハーフフィリングのモット絶縁体相へ到る金属絶縁体転移の振る舞いについて上記の方法で調べた。この方法を使うに当たり、出来るだけ大きなサイズの系を取り扱うことができるように、並列化の手法としてMPIライブラリを用いた汎用性のある形に発展させ、計算を進めた。その結果、部分強磁性が発生する程度のクーロン相互作用がある場合にホールドープされた金属状態からモット絶縁体であるハーフフィリングに至るこの模型の金属絶縁体転移(モット転移)の電荷圧縮率がこれまでに知られていたものと異なる指数で発散することや、更に大きなクーロン相互作用では、部分強磁性金属相とモット絶縁体相の間で相分離が起こっていることが明らかとなった。クーロン相互作用の強さと言う連続パラメータの制御により、金属絶縁体転移の振る舞いがこのように変わる事例の報告は初めてである。この模型は、そのような振る舞いを部分強磁性と言う新しいスピン状態のもとで実現している。この系は、強相関電子系における金属絶縁体転移の理解を更に深めるための格好の舞台を提供するものとなると期待される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2004 その他

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Partially ferromagnetic ground state in the one-dimensional Hubbard model with next-nearest-neighbor hopping2004

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Nakano
    • 雑誌名

      Journal of Magnetism and Magnetic Materials 272-276

      ページ: 487-488

  • [雑誌論文] Metal-Insulator Transition of the Hubbard Chain with Next-Nearest-Neighbor Hopping -- Partially Ferromagnetic Metal toward Mott Insulator --2004

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Nakano
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan 73

      ページ: 983-990

  • [雑誌論文] Charge Susceptibility of the Hubbard Chain with Next-Nearest-Neighbor Hopping

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Nakano
    • 雑誌名

      Physica B (印刷中)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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