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2005 年度 実績報告書

混合戦略と突然変異を導入した大自由度レプリケータ系の多様性と安定性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15740233
研究機関東京大学

研究代表者

橋本 康  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50345104)

キーワードゲーム力学系 / レプリケータ系 / 食物網 / 非線形力学系
研究概要

本研究の目的は、生態系の多様性と安定性が進化的にいかに獲得されて来たかをゲーム理論を用いて解明することである。この問題は生態系の「多様性のパラドックス」と呼ばれ、1970年代以来、生態系研究の重要なテーマとなっている。本研究では、種間・個体間の競争をゲームとして捉え、種の違いや個体の違いをゲームにおける戦略の差として表現する。
前年度において、プレーヤが同時に複数のゲームを行った場合のダイナミクス(マルチゲームダイナミクス)について研究した。生態系における競争をゲームとして捉える際、それは単一のゲームと考えるより、複数のゲームを同時に行っていると考えた方が、より現実的であるからである。プレーヤが同時に複数のゲームを行う場合、それぞれのゲームにおける戦略頻度の振舞いが、それぞれのゲームを単独で行う場合と全く異なる振舞いを見せることがあることを発見した。進化ゲーム理論ではほとんどの研究が単独のゲームを対象に研究されてきたが、これはプレーヤが同時に他のゲームをやっていても注目するゲームの戦略頻度に影響しないことを暗に前提としている。本研究でそれは一般に誤りでそれぞれのゲームの戦略頻度が影響してしまうことがあり得ることが示された。本年度、この成果を発表した。
本年度、さらにこのモデルを発展させ、遺伝子型-表現型のマッピングを考慮したマルチゲームダイナミクスを用いた生態系の進化モデルの研究を行った。一般に生物のある形質・形態は単一の遺伝子が決定するわけではなく、多くの遺伝子が関与する。そしてまた一つの遺伝子は多くの形質・形態の決定に関与することがある。このことを考慮し、一つのゲームの戦略を多くの遺伝子が決定し、一つの遺伝子が多くのゲームの戦略の決定に関与するような遺伝子と戦略のマッピングを含むマルチゲームダイナミクスを構築し、個体はゲームを通して相互作用し、遺伝子を通して戦略が遺伝して変異によって新しい戦略を持つ個体が系に導入される生態系の進化モデルを研究した。このモデルでは従来の研究と異なり、遺伝子空間、戦略空間それぞれにおける動的な種の定義が可能になり、より現実的な生態系の進化モデルを構築出来た。そしてこのモデルにおいては多種多様な種が共存でき、動的な中立変異が大きな役割を果たすことが分かった。この成果は現在発表準備中である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Unpredictability induced by unfocused games in evolutionary game dynamics

    • 著者名/発表者名
      Koh Hashimoto
    • 雑誌名

      Journal of Theoretical Biology (in press)

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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