1.昨年度に引き続き東京大学の坂井氏や、神戸大学の野海氏らの研究グループによる楕円差分Painleve系に関連して楕円超幾何方程式について研究した。昨年度は楕円テータ関数の級数解が得られたが、パラメータが特別な場合にしか適用できなかった。今年度発見した解は任意のパラメータで構成可能であり、級数解を含んでいる。解は楕円ガンマ関数の積分で与えられベータ積分の一般化となっている。これらの研究結果から量子楕円型Ruijsenaars模型の有理関数型固有関数が構成されることを見出した。さらに楕円型Ruijsenaars模型は三重可換作用素の族からなるが、その特別な場合の同時固有関数になっていることが分かった。 2.上記に関連して、楕円ガンマ関数のモジュラー性についての研究を行った。楕円ガンマ関数は有限個の周期を持つが、そのモジュラー性は周期がある条件を満たす場合のみ知られていた。今年度の研究によって、楕円ガンマ関数の積分表示を用いて、その条件を満たさない場合について明らかにした。
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