研究概要 |
1.興奮性反応拡散系のパルスダイナミクスと分裂現象 反応拡散系におけるパルスの分裂現象は90年代初頭から実験や計算機実験によって多数、報告がなされ、その不変性が取りざたされているにもかかわらず、その理論的な研究はかぎられている。我々は、Bonhoffer-van der Pol型の反応拡散方程式において、一次元でのパルスの分裂現象を界面ダイナミクスの観点から研究を行った。双安定系の界面方程式を制限付きで単安定系に拡張し、パルスのフロントとバックの界面の運動方程式を導いた。その結果、系の興奮性を示すパラメータが、パルスの分裂の閾値として振舞うことを示した。 2.Ir(111)表面上でのCO酸化反応におけるノイズの影響 Ir(111)表面上でおこるCO酸化反応にノイズを加える研究を実験とモデルの両面からおこなったIr表面上に供給されるCOの分圧をパラメータとして、生成されるCO_2の量にヒステリシスが見られるような温度領域が報告されている。このような温度において、系にノイズを加えると、酸化反応の時間スケールが十数秒にもかかわらず、非常に長い時間(1日のオーダー)の緩和現象が観測された。この現象について、CO,Oの吸着、脱離および表面上での酸化反応と拡散を考慮した反応拡散方程式を用いて解析を行った。その結果、界面の運動および核形成が、このような長時間の緩和現象をひき起こす要因であることがわかった。また、ノイズに起因するその他の興味深い現象として、バーストやスイッチングなどがみられた。
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