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2005 年度 実績報告書

カオス的な量子動力学の誘発する絡み合いと干渉破壊の半古典解析

研究課題

研究課題/領域番号 15740241
研究機関首都大学東京

研究代表者

田中 篤司  首都大学東京, 都市教養学部理工学系, 助手 (20323264)

キーワード量子カオス / 半古典論 / Stokes現象 / caustic / Herman-Kluk法
研究概要

本課題は、カオス的な量子動力学の誘発する絡み合いと干渉破壊に関して、複素半古典論を基盤とする,Stokes現象を利用した,新しいシナリオの検証を目指しています.本年度は半古典論の計算法の研究として,Herman-Kluk法(以下HK法と記す)(Herman and Kluk 1984)に着目しました.これは,Feynman核の近似的な積分表示を,数値計算で効率良く評価できるように,導入したのです.HK法は,初期値問題に従う実の古典軌道の寄与のみを取りこむことが特徴です.この方法の根拠は,近似的な積分表示の半古典評価と,従来の半古典論が,leading termで一致するとの主張からでした(Kay 1994).もし,この方法が,本当に,古典的に禁じられた過程をも記述するのであれば,半古典論としては古典的に禁じられた成分を生成する,波束の折れ畳みが指数関数的に多く発生するchaos系でも有力な計算方法であるはずです.特に,Stokes現象の取り扱いを回避できる点で、実用的に有利なはずです.ここで,当課題で考察中の,Stokes現象を利用した絡み合いと干渉破壊のシナリオにおいて,Stokes現象は計算の手段ではなく,理論的な概念装置であることを注意しておきます.HK法の有効性を検証するため,厳密に解ける,非線形な相空間動力学の模型(Adachi 1999)の誘発するトンネルの裾の,HK法での解析を試みました.結果として,二種類のトンネル領域を見いだしました:古典的に許された領域と隣接する,"浅い"トンネル領域を,HK法がうまく記述することを示しました.一方,"深い"トンネル領域では,HK法が破綻することも示しました.これを説明する上で半古典論とそこで現われるStokes現象は重要な洞察を与えます:HK法の半古典論で深い領域において現われる,非物理的な古典軌道が破綻の原因です.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Determination of the border between "shallow" and "deep" tunneling regions for the Herman-Kluk method by the asymptotic approach2006

    • 著者名/発表者名
      Atushi Tanaka
    • 雑誌名

      Physical Review A 73

      ページ: 024101-1-024101-4

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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