我々の日常生活の中において、粉粒体という存在形態は固液気の物質の3態と並んで非常に良く見られるもののひとつである。しかしながら、従来の研究の殆どは、おもに工学的制御を目的とした個別的問題として発展してきており、各現象を統一的に理解する普遍的法則性についてはまだあまり解っていないというのが現状である。 本研究では、固化と流動化の境目を詳しく調べるという観点から、粉粒体で出来た斜面上のなだれ現象の物理的観点からの詳細な実験と解析を行なった。その結果深層内部での粒子運動の統計性に、奇麗な特徴があることがわかった。これらの統計性について、フランスのエコールノルマルシューペリウールドリヨンにおいて、情報交換と有益な議論を行なった。また、同所においては、周期ポテンシャル中における粒体運動の研究に関して興味深い方向への進展があった。これに関しては発表準備中である。 また、物質表面の接触および摩擦によって生じる帯電は、粉体現象に付随する非常に面白い現象のひとつであることから、この帯電現象の振舞を明確に観測する為の実験系を新たに作成し、帯電現象の観測を手掛けた。絶縁物質としてプラスチック素材を数種類しらべ、特に同種物質同士の摩擦に際して起こる帯電現象を詳しく調べてきた。
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