研究概要 |
まずカルシウムイオンの光による二段階イオン化の実験については、^<43>Ca^+のイオン化実験への重要なステップとして、光のみを用いて実際に^<40>Ca^+をイオン化することに成功した。具体的には、まず二段階イオン化に必要な423mnと390nmの光源の整備を行った。423nm光源には日亜化学製の出力5mWの紫外半導体レーザーを用いた回折格子帰還形外部共振器レーザーを使用し、また390mn光源には半導体レーザーではなく375nm中心のLEDを用いた。つぎに423nmレーザーを用いてカルシウム原子ビームの分光を行い、極微量(〜0.13%)の^<43>Caを含むカルシウム原子の同位体の観測に成功した。さらにあわせてLEDを照射しさらに冷却レーザーとして397,866nmの光源を用いて二段階イオン化の実験を行い、^<40>Ca^+をトラップに導入することに成功した。 さらに^<40>Ca^+のサイドバンド冷却実験へのステップとして、単一イオンの冷却および電気四重極子遷移におけるサイドバンドの観測実験を行った。サイドバンドの観測に際しては準安定准3^2D_<5/2>準位の占有数を強制的に基底状態へ戻すための854nmレーザー(これはサイドバンド冷却においても本質的に重要である)によるパルスを励起スキームに組み込むことによって、また蛍光観測のSN比を50:1と大きく改善し状態検出に必要な観測時間を短縮することによって、サイドバンド観測に必要となる時間を以前の数分の一(ティピカルには1-10分程度)にすることに成功した。 また現在用いているものよりも安定度の優れた電気四重極子遷移励起用729nmレーザーの開発を行った。参照用共振器として長期安定度、短期安定度ともに優れた高フィネス(〜10000)のULE共振器を用い、Pound-Drever法を用いて電流帰還により安定化を行って、20kHz/1msという安定度を得た。
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