本研究の目的は、コロイド-高分子コンプレックス系におけるナノ構造形成、およびその動的性質に関する振る舞いについて、大規模計算機シミュレーションの立場から明らかにする事である。上記の分野における未解決の問題に対して、独自の計算アルゴリズムを適用する事により、従来アプローチが困難であった荷電ソフトマテリアルの問題について明らかにした。 具体的な研究成果は以下の通りである。 ・多分岐高分子系(デンドリマー)は、中心から放射状かつ規則的に分岐しているという、ユニークな構造をもつ高分子である。光デバイスやドラッグ・デリバリーなど、様々な分野において次世代ナノマテリアルとしての応用が期待されている。本研究課題において開発された、荷電ソフトマテリアルの高速計算に適した新しいアルゴリズムを導入することにより、多分岐高分子系のナノ構造形成、および溶液中における有効相互作用の性質について明らかにした。 ・高分子電解質ブラシ系に関する大規模分子動力学計算を行い、最近の実験結果に関する解釈を行った。
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