研究概要 |
震源核は地震発生に先行して形成され,そこでプレスリップが発生すると考えられている.そしてこの考え方が現在の地震予知観測の根幹をなしている.しかしながらプレスリップの特性はまだ解明されていない.そこで実際に震源核を有する岩石試料を三軸圧縮試験により破壊させ,プレスリップの発現形態とAEの発生様式の関係を調べることを本研究の目的とした.平成15年度においては,震源核を有する試料作成をおこなった.一般的な地殻の構成岩石に近い花崗岩の,キズのない無垢な円筒形試料(直径50mm,高さ100mm)を使用して三軸圧縮試験を実施した.温度条件は常温とし,封圧は100MPaとした.3成分ひずみゲージを試料表面に貼り圧縮試験中に測定をおこなった.試験装置の制約上,ひずみゲージは一枚しか貼ることができなかったが,震源核近傍の測定値は得ることができた.周変位速度を一定に保ち制御することで破壊を準静的に成長させ,ピーク・ストレス後10MPa程度差応力が低下した時点で載荷を停止し,高速で除荷をおこない,試料を回収した.回収された試料表面には,5cm程度の亀裂(震源核)が確認された.ひずみゲージの貼付けによる破壊成長の影響を調べるためにひずみゲージを貼らない試料を用いた実験も実施したが特に破壊成長に違いは見られなかった.さらに得られた試料の内部をX線CTスキャナを用いて非破壊観察し,試料表面から内部に向かって成長している断層面の形状を調べた.その結果,表面に確認された亀裂は試料内部にも確認することができ,この亀裂が震源核であると推定された.ただし,試料内部への成長はまだほとんどなく,平成16年度に実施される三軸圧縮試験の際に,成長するものと考えられる.
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